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AIが9割書くブログに「色」は出せるのか——人間スロットという設計

2026年7月4日 公開

「AIに書かせると文章が均質になる」というのは、半分正しいと思っています。放っておけば、AIは平均的でそつのない言い回しに寄っていく。このブログの下書きも実際9割はAIが書いていて、それでも読んで「誰かが書いた」と感じられる部分を残すには、仕組みが要りました。この記事は、その仕組み——voice.md(語り手と文体の定義)・一次情報バンク(実測と失敗の受け皿)・人間スロット(未記入なら公開しない関所)——をそのまま公開したものです。

先に結論

色は、AIがうまく書くことでは出ません。AIが生成できない材料——実際にやった/失敗した一次情報と、そこから下した判断とその理由——を先に人間が用意し、AIにはそれを組み立てさせる。この順番が逆だと、どれだけ文章を人間っぽく整えても表面的なコーティングにしかなりません。

立場表明

1割しかない人間の関与を、私は「最後の文体チェック」には置きませんでした。最初の素材と立場表明に置いています。理由は単純で、AIが9割書いた文章を人間が最後に少し直したところで、読者が受け取る中身のほとんどはやはりAI由来のままだからです。関与の場所を変えない限り、割合をどれだけ人間側に寄せても色は薄いままだと考えています。

仕組み: 3点セット

具体的には3つのファイルで回しています。

  1. voice.md(語り手と文体の定義) — 一人称、です・ます基調+断定は常体という文体、繰り返し主張する持論(スタンス)、そして「誇張ワード」「AI定型文」「釣り見出し」といったNG集を固定で書いています。AIへの生成指示はここを参照します。
  2. 一次情報バンク(材料の受け皿) — 開発中に起きた決定・失敗・実測値・感想を、磨かずに1〜3行でその場に放り込むだけのログです。「磨くのはAIの仕事、選ぶのはオーナーの仕事」という役割分担にして、書く手間を最小にしています。
  3. 人間スロット(公開ゲート) — AIのドラフトは、①冒頭の立場表明、②実体験・実測データ、③判断とその理由、の3か所を未記入プレースホルダのまま出します。この3か所が埋まっていない記事は公開しません。 プレースホルダが残っていないかを機械的にチェックするテストも仕込んでいて、埋め方を創作で誤魔化すことができない作りにしています。

実際に運用してみて(実測)

数字をそのまま出します。一次情報バンクには、この記事を書いている時点で5件のメモが溜まっていて、そのうち2件はすでに別記事で実際に引用済みです。たとえば「Slipwayの公開告知を出したとき、Zennへの投稿だけレート制限に当たって後日回しになった」という失敗談は、バンクに1〜2行で放り込んだメモがそのまま先発の記事の人間スロット②に使われています。つまりこの仕組みは仮説ではなく、すでに1本、実際の記事の中身を左右した実績があるということです。

なぜこの仕組みにしたか

最初に検討して捨てた案は、「AIの出力を人間が最後に読んで文体だけ整える」というやり方でした。これは一見自然で工数も少ないのですが、結局AIが選んだ論点・AIが選んだ例え・AIが選んだ結論構造がそのまま残ります。色というのは文体の表面ではなく、何を経験していて・何を実測していて・何を選んで何を捨てたかという中身の側に宿ると考えたので、そこを人間が最後でなく最初に埋める設計に振り切りました。捨てたのは「工数の少なさ」で、取ったのは「AIがどれだけ流暢に書いても薄まらない核」です。

もうひとつの理由は、この関所がないとAI協働を明示してネタにするという開示ポリシー自体が形骸化するからです。「AIで9割書いています」と言いながら中身が実質すべてAI任せでは、開示は誠実さでなくエクスキューズになってしまう。人間スロットを機械的なゲートにしたのは、この開示を口だけにしないための担保でもあります。

使うなら何から始めるか

自分の発信でも使えるはずです。持ち物は3つで足ります。①自分の口調・NGワード・繰り返し言いたい持論を1ページにまとめる、②開発でも仕事でも起きた決定・失敗・数字をその場で1〜3行だけメモする置き場所を作る、③AIに下書かせるとき「立場表明・実測1つ以上・判断理由」の3か所を空欄のまま出させて、埋まらなければ公開しない、と自分に課す。文章力より先に、素材と関所の設計が効きます。

Polypost(polypost.dev)でも、AIが生成した下書きを媒体ごとに整えたうえで、公開前に人が確認してから出す運用を前提にしています。ここで書いた人間スロットは、その「公開前に人が確認する」を記事の中身レベルまで踏み込んだ形です。

よくある質問

Q. 人間スロットが埋まらない場合はどうする? 埋めません。埋まらないテーマはその時点では公開せず、実測や判断が溜まるまで寝かせます。埋まらない枠を創作で埋めると、この仕組みの前提そのものが崩れます。

Q. 9割という比率に根拠はあるのか? 厳密な計測値ではなく、文章量ベースの目安です。分量の9割をAIが書いていても、色を決めているのは残り1割の置き場所だ、というのがこの記事の主張です。

Q. voice.mdと一次情報バンクは何が違う? voice.mdは変わりにくい定義(語り手・文体・持論・NG)、一次情報バンクは日々増える生の実測・失敗のログです。前者は静的、後者は動的という役割分担にしています。

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